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8月時点の米中貿易摩擦と株式相場

7月31日に行われたFRBの利下げ幅に不快感を示したトランプ大統領は8月1日にTwitterで対中関税第4弾の発動を宣言しました。これは米国株の下落と米長期金利の低下をもたらし、資金は株式市場から安全資産とされる米国長期債(主に10年債)に向かいました。そして、中国を約20年ぶりに為替操作国に指定しました。その後は一部発動の延期や両国の当局者の発言により相場波乱硬化する状況です。

 これにより、長期債の価格上昇(利回り低下=長期金利の低下)を起こし2007年以来12年ぶりに※逆イールド(短期金利長期金利を上回る状況)が発生しました。

 

 その後、トランプ大統領はパウエル議長に「クレイジーな逆イールドはFRBが利上げをしたせいだ」「パウエル議長が辞めるというなら私は止めない」と金融当局に対する圧力を強めています。

 そのほかにパウエル議長が23日のジャクソンホールでの会合で「アメリカ経済は良好な立場にある」としながらも「著しいリスクに直面している」とも述べ経済の不確実性に再度言及しました。同時にそれに対する金融政策で貿易に起因する世界経済の悪化を全て是正することも国際貿易に対してルールを提示することもできないと述べ金融政策の限界を示した形にもなりました。金融政策の限界を示し7月末のFOMCと同様に今後の利下げ見通しについては明言を避けたため一部では失望を呼びました。

この発言を受けてトランプ大統領は批判を強め「パウエルFRB議長と中国の習近平国家主席のどちらが米国にとってより大きな敵なのか。」「パウエル氏には満足していない。いい仕事をしているとは思わない。」と投稿しこの他に中国が報復関税を発表したことを受けて中国に工場を持つ米国企業に向けて中国から撤退するように要請するとともに、中国について「我々に中国は必要ない。率直に言えばいない方が状況はましだろう。」と述べ23日の引け後に報復関税をトランプ大統領が発表したことで週明けのドル円相場は一時104円台に入るなどしました。

 その後は両者の歩み寄る貿易摩擦解決に向けた発言が見られ106円台前半まで値を戻しています。また、9月1日0時0分よりトランプ大統領の宣言通り対中関税第4弾が一部発動され、中国も即時報復するなどしており9月に予定される米中協議の日程が決められるかが焦点となっています。

 ダウ平均は7月に史上初の27000ドルを超えてから下落し8月時点で25500~26500ドルを推移しています。

 

 

※逆イールドとは長短金利の逆転現象になります。

 一般的に投資家は期間が長くなればなるほどその間の景気や債券価格変動のリスクを負うためそれに見合った利回りを求めます。そのため通常は短期金利よりも長期金利が高くなります。短期金利の指標は米国2年債とされ、直近の米国政策金利であるフェデラルファンド金利が目安になりますが長期金利に関しては米国10年債で主に投資家による債権の入札価格及び流通価格となります。

 前提として、市場では好景気の際に主にリスク資産として外貨及び株式が選ばれ、景気悪化及び不透明感が増す状況下では安全資産として債券が選ばれる傾向にあります。 

 長期金利が高くなるということは10年債の利回りが高い=債券価格の下落を意味し、投資家が将来の景気に関して明るい見通しを持っていることの表れと言えます。前述のようにこの長期金利短期金利を上回ることが一般的です。

 しかし、何か経済的な不安要因により短期金利が急騰もしくは債券に急な資金手中が起こるなどして長期金利が急低下する(10年債の利回りが低下=債券価格の上昇)が起こると、時に長期金利短期金利を下回ることになります。

 この際は投資家が将来の景気に関して暗い見通しを持っているといえます。逆イールドが起こると高確率で18か月以内にリセッション(景気後退)が起こるといわれています。

 今回の逆イールドの環境下ですが、米国内の消費・雇用・物価などの足元は堅調であるため実際にリセッションが起こるかという見方には疑問視する声も多くあり、イエレンFRB前議長やJPモルガン・チェースやゴールドマンサックスもリセッション入りには否定的な見方を示しています。

 しかし、金融政策の限界が示されたこの状況下でリセッション入りを回避できるかどうかはトランプ大統領ホワイトハウスにかかっているとも言え予断を許さぬ状況です。